こんにちは。
10代はもっぱら恋愛より漫画やアニメの方が楽しかった、アラサーのハナです。
もしもあなたが、
今後の人生でただひとつの漫画しか人に薦められないとしたら、何を薦めますか?
どの漫画を思い浮かべるでしょうか?
筆者は、筆者が中学校1年生のときに一気読みした少女マンガ、『こどものおもちゃ』を薦めます。
これまでさまざまな漫画や本で、感動や興奮を享受してきましたが、『こどものおもちゃ』ほど筆者の人生のバイブルと言いたい漫画に出会ったことがありません。
何故なら『こどものおもちゃ』(略して『こどちゃ』)ほど、読むたびに感じとれることが変わり、深くなり、人間の脆さや愛おしさを優しく、それでいて厳しく描いてくれた名作はないと思っているからです。
ここでは、
- 『こどものおもちゃ』とは
- 『こどものおもちゃ』を人生で最低3度読むべきタイミング
- 『こどものおもちゃ』を読むなら見て欲しいポイント
をご紹介します。
- 『こどものおもちゃ』とは
- 『こどものおもちゃ』を人生で最低3度読むべきタイミング
- 『こどものおもちゃ』を読むなら見て欲しいポイント
- まとめ:読まなきゃ人生損っていう言い方はキライだけれど、読んだなら絶対に感じるものがあります!とにかくおすすめしたい!
『こどものおもちゃ』とは
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『こどものおもちゃ』は、小花美穂による漫画。
少女漫画雑誌『りぼん』に連載された。単行本全10巻、完全版全7巻、コミック文庫全7巻。
連載期間 1994年8月号 - 1998年11月号
人気子役タレントの倉田紗南とそのクラスメイト兼大問題児羽山秋人を中心に進む学園漫画である。
『こどものおもちゃ(略:こどちゃ)』が他の少女漫画と違うところ
主人公が小学生
少女漫画誌の中でも当時の『りぼん』は小学生~中学生層に絶大な人気を誇った月刊誌です。
筆者も小学生時代は毎月500円のお小遣いを握り締めて、本屋さんに通ったものです…。
実は『こどちゃ』の連載期間、筆者は4歳~7歳という年齢だったため、リアルタイムで読んでいたわけではありません。筆者がリアルタイムで読んでいたりぼん作品だと、
- グッドモーニングコール
- 神風怪盗ジャンヌ
- GALS!
- 聖・ドラゴンガール
などなど。
う~ん、少女漫画らしいというか、とてもタイトルがキラキラしています。これらは中高生がヒロインのお話なので、小学生の筆者にとってはきっと「高校生活の憧れ」を描いてくれていたのだと思います。
というのも、誰とそれが付き合った~とか、ファーストキスが16歳で~とか、突然イケメン転校生がお隣に引っ越してきて~とか、そういう描写を女の子達は求めていた気がします。小学生の女児にとって、クラスメイトの男の子はやっぱり言っちゃ何ですがお子ちゃまでしたから。(大人になったいま振り返ると、「言える立場か」って感じなのですが…)
もちろん今も昔も小学生の女の子が主人公となっている少女漫画はたくさんありますが、当時の『りぼん』を考えるとちょっと主人公が低年齢寄りだったと言えます。
筆者の小花美穂先生の前作が大人な話が多いことも相まって、ギャップを感じるのかも?(かけおちがテーマ?の単行本もありましたから)
取り扱うテーマの全てが重かった
![]() こどものおもちゃ 9【電子書籍】[ 小花美穂 ]
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小学生も守備範囲としている少女漫画誌に多いのは、やはり分かりやすいストーリーの作品です。
そんな中で、『こどちゃ』は当時の『りぼん』では異色の作品だったと言えます。というのも『こどちゃ』が触れるテーマは、筆者が1巻~10巻のストーリーを思い出すだけでも重いものばかりだからです。
- 学級崩壊
- いじめ(生徒が同級生へ)
- いじめ(生徒が教師へ)
- ネグレクト
- 姉から弟への虐待
- ホームレス
- 離婚
- DV(父親から家族へ)
- 不妊症
- 若年妊娠
- 若年出産
- 生後間もない子どもを遺棄
- 血縁のない親子
- 子どもが社会で働くということの難しさ、危険性
- マスメディアの情報操作
- 若年のファンによる犯罪
- 共依存
- いじめ(教師から生徒へ)
- 体罰
- 親の過干渉
- 少年犯罪
- 身体障害
- 心の病
「うわっ」と驚かれる方もいるでしょう。
これだけ聞くと、「さぞかし夢も希望もない話だろうな」と想像される方もいるかもしれません。
スーパーマンもスーパーヒロインもいない
『こどちゃ』の登場人物は、子どもも大人も全員が未熟です。
「絶対的に頼れる大人」というものはいません。主人公たちに手を差し伸べ守ってくれる大人、愛すべき尊い友人はたくさんいますが、全員が未熟です。
主人公・紗南(さな)と、秋人(あきと)が過ごす小学校6年生~中学校1年生の2年間(※)は、それこそ思春期の子どもたち特有の悩みや問題が次々襲い掛かってきます。
もちろん、それ以外にもふたりの生い立ちからなる降りかかる問題も多くあります。
※物語は回想シーンや、エンディングを含めるとふたりの幼少期から中学3年生の期間が描かれています。
もちろん、物語だからこその都合のいい展開もゼロではありません。
しかし、「どうにもならないことは、どうにもならない」「自分で乗り越えていくしかない」という現実味を持たせてくれるエピソードが数多く盛り込まれています。
ここで注意してお伝えしたいのは、「乗り越えて当たり前ではない」ということです。
乗り越えられないこともあります。誰にも相談できないこともあります。誰にも気付いてもらえないこともあります。
むしろ、この漫画では登場人物たちに無責任に簡単に乗り越えさせようとはしません。無理がたたれば病気にもなる、一度犯した過ちは背負って生きていくしかない、そういった当たり前のようで残酷なことさえも、ときに明るく厳しく描いています。
『こどものおもちゃ』を人生で最低3度読むべきタイミング
前述したとおり、『こどちゃ』が連載された少女漫画誌『りぼん』が小学生~中学生層をターゲットとした雑誌です。
筆者自身、『こどちゃ』をはじめて読んだのは中学一年生のときでした。
原作者・小花美穂先生の連載中の作品ファンになり、続きが待てなくて古本屋で『こどちゃ』を手に取ったのが始まりです。
多くの人は子ども時代に出会った漫画を、大人になって読み返すことがあると思います。
そこで、熱烈な『こどちゃ』ファンの筆者が是非オススメしたい『こどちゃ』を人生で読み返して欲しい(未読の人は手に取るのをおすすめしたい)タイミングを紹介します。
高校を卒業するころ
日本では高校を卒業すると同時に、物理的に親との距離が離れることが多いです。
それは不仲になるとかそういうことではなく、一人暮らしを始めたり、車の免許を取って行動範囲が広がったりする他にも、これくらいの年齢になると多くの人に恋人がいる(恋人がいた経験がある)ということがあります。
もろに反抗期を経験した人も、物理的に家族との距離を取りやすくなることから、余裕ができる頃です。
また、日本の義務教育は中学校までとは言え、実際のところほとんどの子どもは高校を当たり前に卒業しています。それ以降どれくらい両親が力を貸してくれるかは家庭によるでしょうが、だいたいの子どもは高校卒業までは家族が身近にあるものです。
温かい家庭で育った方、そうではない方、学校や何かのコミュニティで傷ついたことのある方、親の言うとおりのことしかしてこなかった方ー…。
どんな方であっても、『こどちゃ』の何かがセンセーショナルに刺さるタイミングであり、かつ考えられる時期がこの年頃だと思います。
あなた(あるいは奥さん)に子どもを授かったころ
先ほどはサラリと箇条書きしましたが、『こどちゃ』では出産・親子の関係・家庭内の問題が多くクローズアップされています。
ネタバレになるので詳しくは避けますが、作中のたくさんの子どもと大人が絡んできます。
筆者が中学生ではじめて読んだとき、子どもの立場である主人公の紗南(さな)や秋人(あきと)、そのクラスメイトの境遇や気持ちを思って涙しました。
「子どもは勝手に育つ」という言葉がありますが、それは半分正解だと思います。
しかし、子どもが手を差し伸べてほしいとき、それを子どもが上手く伝えられるか、大人に発信できるかは難しい問題です。
また、親も神様ではありませんから、子どもが助けを求めていることに気付くことすらできない場合もあるでしょう。
『こどちゃ』を読むと、「上手くいかないけれど、子どもは子どもなりに考えていた」と自分の子ども時代やクラスメイトのことを思い出します。
他にも、親に振り回される子どもの気持ちも思い出せます。今となっては割り切れること理解できることが、どうしてもつらかった思い出のひとつふたつが蘇ることもあるでしょう。そしてきっと自分の子どももそうやって育っていくのです。
自分の子どもへ向ける愛情は、押し付けるものではなく支えて見守るものでありたいと考えさせられます。
子育てで悩んだり、落ち込みそうになったころ
先にも述べましたが、この作品は子どもが主役とは言え、多くの大人たちが登場します。
そして大人も子ども同様に未熟で、不安を抱えています。
考えてみれば当然のことですね。子どもを授かって人ははじめて親になるのですから、人生では何十年生でも、親としてはまだほんの数年の経験しかないのですから。
この作品には、子どもを導けるような親も出てきます。
問題を直視できずネグレクトしていたけれど、子どもを一番に愛せるようになった親も出てきます。
逆に子どもの心を壊してしまうような、間違った教育に取り付かれる親も出てきます。
子どもに相手にされない教師、子どもを嫌っていじめる教師など、さまざまな大人が登場します。
この作品の素晴らしいところは登場人物が多く、取り上げたテーマもたくさんあったにも関わらず、全員にしっかりとした人間味が描かれているところです。
中学生のときに読んだ際は、そういう大人の描写が恐ろしく、信頼できず、あまり好きになれませんでした。
しかし先日読み返してみると、なんとなくそれぞれの言い分というか苦しさがわかるのです。自分の中で「クソみたいな教師」だと思っていたあるキャラクターに、ほんの少しだけ気持ちが揺らいだりもするのです。恐らく社会に出て、社会人であることの苦しさを身をもって経験したからなのでしょう。
この漫画では大人ももがいています。
だから読み返してほしいのです。
『こどものおもちゃ』を読むなら見て欲しいポイント
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『こどちゃ』は1990年代の漫画ですから、登場人物がLINEやメールを使うことはありません。
今の時代ならスタンプ1つで安心できることも、当時にはありません。面と向かって会話するか、電話口で話すかしかなかった時代の物語です。
子どもの強さも弱さも描いています。
原作者の小花先生が、コミックスのトークコーナーでいつだったか「こどちゃの中にあるギリギリの現実感を残すため(とあるキャラの設定を変えた)」というようなことを書かれていました。
キャラクターの”目”にハッとさせられる
『こどちゃ』は子ども目線でありながら、多くのキャラクターの成長を描いています。
絵のテイストは少女マンガとしても「古い」部類のテイストですが(だって本当に古いんですけど)、キャラクターの表情が感情を物語っていてとても美しいです。
特に”目”で台詞のないシーンでもキャラクターの感情が読み手に流れ込んできます。
もし初見で絵が苦手だと思われても、是非挑戦していただきたいです。
けっこうさっさかストーリーが展開します
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実はこどちゃは隙間さえあればどんどんギャグを挟んでぐるとってもハイテンションなコメディ要素も携えています。(実は)
なんなら超シリアスな回でもたまーにうっすら誰かがボケてます。
その明るさがまた、生きようとするエネルギーを感じさせてくれます。子どもの笑顔や明るさは何物にも変えがたいエネルギーだと感じるのです。
これだけたくさんの重くて難しいテーマを扱っておきながら、1ページ1ボケ以上のペースでコメディ要素がつっこまれているので一息で読めてしまいますよ。
(なんなら1ページ10ボケとかもたくさんあります)
むしろ、「この漫画ほんとうに10巻でまとめたの!?」っていうくらい中身が濃くまとまっています。
まとめ:読まなきゃ人生損っていう言い方はキライだけれど、読んだなら絶対に感じるものがあります!とにかくおすすめしたい!
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いかがでしたか?
『こどちゃ』愛を炸裂させつつもネタバレ要素を極力調整して紹介記事を書いた結果、3日かかりました…(最近いいペースで更新していたのですが)
こどちゃは舞台化やアニメ化もされておりそれぞれ魅力はあるのですが、まずは是非原作を読んでいただきたいです。
20年前に完結した漫画ではありますが、いまは電子書籍でいくらでも読むことが可能な時代…。ぜひ多くの人に手に取っていただけると嬉しいです。